腎臓のはたらきと慢性腎臓病(CKD)

腎臓のはたらき

腎臓は背中側の腰の上あたりに背骨をはさんで左右1つずつある、そら豆のような形をした臓器です。大きさは大人の握りこぶし大で、1つの重さは130g程度です。

「肝腎かなめ」という言葉があるように、腎臓は私たちの体の中でとても大切な働きをする臓器の1つです。一般に腎臓は尿を作る臓器として知られていますが、そのほかにも生命を維持するためのさまざまな働きを担う、いわば体のコントロールセンターのような場所です。

腎臓の働き

腎臓には大きく分けて3つの働きがあります。

■①老廃物や毒素の排泄■

一つは老廃物や毒素の排泄です。私たちの体の中では常に新陳代謝が行われ、老廃物が作られています。また、食べ物や空気に混じって体内に入ってくる有害な物質も少なくありません。腎臓は血液をろ過して血液中に含まれる老廃物や有害な物質を取り除き、尿として体外へ排泄します。

■②体液を一定に調節する働き■

また、体液を一定に調節する働きがあります。私たちの体は、体重の約60%が水分つまり体液で構成されています。体液にはナトリウム、カリウム、カルシウムなど体に必要不可欠な電解質が含まれていますが、この成分が常に一定でなければ生命を維持することはできません。腎臓はこれらの量を調節して一定に保ちます。

■③ホルモンの分泌■

もう一つは、ホルモンの分泌です。腎臓は血圧を調節するホルモンや血液中の赤血球を作るホルモンを分泌します。また骨を強くする活性型ビタミンDを作ることもわかっています。

尿が作られる仕組み

次に、尿が作られる仕組みですが、腎臓はネフロンと呼ばれる特徴的な機能単位の集合体で、一つの腎臓には約100万個のネフロンが存在します。ネフロンは細い動脈が「糸まり状」になった糸球体とそれを包むボウマン嚢(のう)から成る腎小体、それにつづく尿細管から構成されています。

腎臓に入った血液は、まず糸球体でろ過されます。これは尿のもと(原尿)としてボウマン嚢に集められ、細く長い尿細管へと入っていきます。

尿細管では体内に必要なブドウ糖やアミノ酸、電解質などが水分とともに再吸収され、血液へと戻されます。不要なものは尿として腎盂に集められ、尿管を通って膀胱へと送られます。

糸球体でろ過される原尿の量は、1日に約180L(ほぼドラム缶1本分)にもなりますが、尿として排泄される量は原尿の1/100程度、1日あたり約1.5Lとなります。

慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病(以下CKD)とは、羅患している本人に自覚症状が無いまま、徐々に腎機能が低下していく病気のことです。日本のCKDの患者数は1100万人(20歳以上の成人の10人に1人)いると考えられ、新たな国民病ともいわれています。

CKDの原因

CKDの主な原因としては、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満・メタボリックシンドローム、慢性糸球体腎炎、加齢などがあります。

加えてCKDでは、心臓病や脳卒中を起こす危険がCKDでない人に比べて約3倍高くなるといわれています。また、CKDが悪化すると腎不全へと移行し、透析が必要になります。

日本における慢性維持透析患者数は約30万人(2011年度推計)といわれ、年々増加しています。

CKDの診断

CKDはたんぱく尿と腎臓の働きを示すGFR(糸球体ろ過量)で診断されます。

GFR(糸球体ろ過量)とは、1分間に糸球体が血液をろ過する量で、健常な人のGFRは100ml/分前後ですが、腎臓の働きが悪くなるとGFRの値は低くなります。

①「たんぱく尿がでている。(尿検査でわかります。)」
②「GFR60ml/分/1.73m2未満。(血液検査の血清クレアチニン値からわかります。)」

この両方またはどちらかが3ヶ月以上つづくとCKDと診断されます。

CKDの治療

CKDと診断されたら、適切な治療によって病気の進行を遅らせ、末期腎不全に至ることを防がなければなりません。それには、まず自分がCKDのどの病期に該当するのかを、病期分類表(別紙参照)を用いて、知っておく必要があります。

別紙(病気分類表)はこちら
(クリックで別ウィンドウで開きます)

CKDの治療は症状や合併症の有無など、それぞれの患者さんの状態に合わせて行われます。具体的には、生活習慣の改善、食事療法、薬物療法の3つがあります(別紙病期、治療参照)。

⇒別紙(病気・治療)はこちら
(クリックで別ウィンドウで開きます)

CKDの具体的な治療方法

生活習慣の改善
生活習慣の改善としては、禁煙、肥満の是正(BMI{体重(kg)÷身長(m)×身長(m)}が25未満)、過度の飲酒の制限、運動(血圧、たんぱく尿、腎機能などの状態によって、運動量の調節が必要です。)などがあげられます。
食事療法
食事療法は、医師や管理栄養士からの指導に基づいて取り組むことが重要です。具体的には、減塩(1日3g以上6g未満)、たんぱく質の制限、エネルギーの摂取(1日の目安として25~35kcal/kg、肥満の人は20~25kcal/kg)、カリウムの制限、そして水分の過剰摂取や極端な水分制限を行わないようにします。
薬物療法
薬物療法による血圧、血糖、コレステロールの管理はCKDの治療に不可欠です。血圧130/80以下、HbA1c(NGSP)6.9%未満、LDLコレステロール120mg/dl未満(可能であれば100mg/dl未満)が指標となります。

CKDはとても身近な病気です

CKDは成人の10人に1人がなっているといわれ、名前は聞いたことがなくても実はとても身近な病気であると言えます。最近の研究でCKDは透析が必要となる腎不全まで進行することはもとより、心筋梗塞、脳卒中なども引き起こす可能性が有ることもわかってきています。そうなると日常生活にも支障をきたすことになってしまいますね。

CKDは専門医に元でしっかりと治療を受けていけば悪化を防ぐ事も可能です。特に、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症)の人は、自分の腎臓の状態を把握することが重要です。また、生活習慣病の早期発見、早期治療のために、定期的な検診を受けることが必要です。

参考文献
1.日本腎臓学会:CKD診療ガイド2012 , 2 - 3:2012
2.飯田 喜俊、湯浅 繁一、椿原 美治:腎疾患診療のジレンマ:金芳堂:2000
3.帝国臓器:よくわかる健康シリーズ、腎臓:2004
4.KYOWA KIRIN:慢性腎臓病
5.日本慢性腎臓病対策協議会:CKDとは|CKDについて


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