血精液症

血精液症とは

血精液症とは、精液に血が混じる状態で、病気というよりは一つの症状です。 20~60歳代に発症し、40歳代に最も多く発症します。

精液は精巣(こう丸)から精巣上体(副こう丸)、精管を経て移動してきた精子と精嚢(せいのう)および前立腺の分泌液で構成されていますが、精液液状成分の大部分は精嚢と前立腺の分泌液が占めていますので、出血部位は多くの場合、精嚢または前立腺で、ほとんどが精嚢内出血であるとされています。

血精液症における精液の色や発生する症状

血精液症の精液の色は、出血の時期が古いと黒色~茶褐色を呈し、血液の塊が混じることもあります。逆に比較的新しい出血では、鮮血色~ピンク色を呈します。

血精液以外の症状を伴わなく発症する場合がほとんどで、一般的に射精時に痛みを伴うことは少なく、逆に痛みがある場合は炎症が疑われます。まれに排尿困難、頻尿、排尿時痛、会陰部不快感などの症状を伴うことがあります。

血精液症の原因

血精液症の原因は、精嚢または前立腺の炎症やうっ血などの局所の循環障害などがありますが、他の原因として考えられるのは、精子輸送路(精巣、精巣上体、精管、精嚢、前立腺)の腫瘍、嚢胞(のうほう)、結石などが挙げられます。

血精液症の診察

前述のとおり血精液症は一つの症状ですので、その診察は原因を同定する目的で行われます。まず、精巣、精巣上体など外陰部の診察を行い、次に直腸診(肛門から指を挿入して行う)で前立腺や精嚢に異常があるか調べます。

超音波検査(エコー検査)は精度の高い検査ですので行われる場合が多いです。また、尿検査で血尿を伴っている場合には、超音波検査に加えてCT検査やMRI検査が追加されることもあります。

やはり原因として注意されるのが腫瘍ですので、中高年以上の方は前立腺がんの有無を調べるためPSA(腫瘍マーカー)の採血を行います。ただし、血精液症の方でがんが見つかる確率は高くありません。

診察の結果、精子輸送路(精巣、精巣上体、精管、精嚢、前立腺)の炎症がある場合は、抗生物質や抗炎症剤あるいは止血剤などを用いて治療が行われます。検査を行なっても原因が特定できない特発性血精液症と診断されることが多く、この場合は無治療で経過観察となります。

診察後の注意点

血精液症は自然治癒することがほとんどで、多くは2~3週間で血精液は消失します。しかし、精嚢に貯留した古い血液が、その後何度か排出されるため、完全に血精液が消失するのに数ヶ月を要する場合も少なくありません。

また、凝固能の異常がある場合(血液疾患が基礎疾患にあったり、抗凝固剤を服用している方など)や血管がもろくなっている場合(糖尿病など)は、血精液が長く続いたり、再発する場合があります。このため、2~3ヵ月経過しても血精液が消失しない場合は、再度受診する必要があります。

最後に

血精液症は診断、治療方針が確立されています。しかし非常にデリケートな部分の症状のため、病院に行くのをためらう方も非常に多いです。前述のとおり、炎症が原因であったり、確率は低くても腫瘍を原因とする場合もあります。

血精液を認めた場合、速やかに泌尿器科を受診してください。

参考文献
1.天野俊康:血精液症 臨泌69巻4号 247-248 2015
2.並木俊一:血精液症 臨泌67巻4号 317-318 2013
3.https://www.urol.or.jp/public/symptom/17.html


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