性感染症(STD)の種類と予防策

性感染症(STD)の基本

性感染症とは、「性的接触(性交やオーラル性交など)によって感染する病気」と定義され、STD ( Sexually Transmitted Disease )やSTI ( Sexually Transmitted Infection )ともいわれます。

かつては性病といえば、「梅毒、淋病、軟性下疳、鼠径リンパ肉芽腫」の4つ病気を総称した言葉でしたが、新しい病気も出てきましたし、本人に自覚症状がなくても危険性がある性感染症なども散見されるようになって分類の仕方が変わりました。

なお、性病という言葉も現状では一般的に使われていますが正式には「性感染症」と呼ぶのが正しいです。

性感染症(STD)の種類

性感染症の主たるものとして、梅毒、エイズ、淋菌感染症(淋病)、性器クラミジア感染症、性器ヘルペス、尖型コンジローマ、ケジラミ症などが挙げられ、その数は10種類以上に昇ります。

ここでは当院での日常診療においてよく見られる性感染症(以下STD)とHIV、エイズについて紹介します。

1)性器クラミジア感染症

クラミジア・トリコマティスというウイルス似た病原体を原因とし、感染力が強く、現在、日本で感染者数が一番多いSTDです。潜伏期は1~3週間。感染しても男性の5割、女性の8割は無症状です。

症状は男性では、尿道のむずがゆさや排尿時の痛みなど。女性では、おりものの増加などです。治療は抗生物質が有効です。

2)淋菌感染症(淋病)

淋菌(細菌)を原因とし、感染力が非常に強く、1回の性交で約50%が感染するといわれています。潜伏期は2~10日間。

男性では、「排尿時の強い痛み」、「尿道から膿みがでる」などの症状があり、女性では約3割におりものの増加などの症状がでます。女性では、骨盤内臓器感染症や不妊の原因になります。

抗生物質での治療になりますが、最近、多剤耐性淋菌の出現が問題となっています。

3)性器ヘルペスウイルス感染症

単純ヘルペスウイルスを原因とし、潜伏期は2~10日間です。感染部分に水疱、潰瘍形成を特徴とします。疼痛を伴い、強いかゆみや発熱を伴うこともあります。一度感染すると、体の中にウイルスが潜伏し、再発をくり返す場合があります。

治療は、抗ウイルス剤の内服や軟膏が有効です。

4)尖型コンジローマ

ヒトパピローマウイルスを原因とし、子宮頸がんとの関連も注目されています。潜伏期は3ヵ月前後で、外性器、外陰部、肛門部周辺に白や灰色のカリフラワーのようなイボができます。多くは痛みはありません。

治療はイボのレーザーや電気メスによる焼灼術、凍結療法、軟膏などです。

5)梅毒

梅毒トレポネーマ(細菌)を原因とし、感染力は比較的強く、1回の性交で約15~30%が感染するといわれています。潜伏期は3週間前後です。

梅毒は病期が長いのが特徴で、性器や口の感染した場所に赤く硬いしこりやただれができ、その付近のリンパ節(首、脇の下、足の付け根など)がかたく腫れます(第1期梅毒)。

その後3~12週間位たつと、病原体が血液の中に入って体中にまわり、熱がでたり、体がだるくなり、皮膚にピンク色のブツブツができます(第2期梅毒)。

放置すると症状はなくなりますが、病原体は体の中に広がっていきます(潜伏期)。10~30年たって第3期梅毒(晩期)となると、心臓、血管、脳などに障害がおこります。

早期に抗生物質による治療を行うことが大事です。

6)HIVとエイズ

先進国では、日本だけがHIV感染者数とエイズ患者数が増えています。

通常、HIV(エイズウイルス)に感染して5~10年ほどでエイズになるといわれていますが、HIVに感染したら必ず死につながるわけではありません。

現代医学では新しい治療法が開発されており、早期発見出来るか否かがポイントになってきます。これらの治療法を用いれば例えHIVに感染していたとしてもエイズになるのを予防することが可能です。

STDの感染経路

多くのSTDは、「セックスによる感染」、「血液による感染」、「母子感染」の3つのルートから感染しますが、セックスによる感染が大部分を占めています。

性器と性器の接触だけでなく、口腔と性器の接触(オーラル性交)や性器と肛門の接触(アナル性交)でも感染します。また、クラミジアや淋菌のように眼に感染する場合もあります。

STDの多くは、症状がほとんど現れないため、「知らない間にうつってしまい、知らない間に人にうつしてしまう」、そういう人が治療を受けている人の約5倍いるといわれています。

STDの予防策

STDは予防が大切です。予防には次の3つの方法しかないといわれています。

  • 感染予防1 No Sex ;セックスをしない。(非現実的です。)
  • 感染予防2 Steady Sex ;セックスの相手を限定する
  • 感染予防3 Safer Sex ;より安全なセックス(コンドームを使用する。)

コンドームを使用していれば、多くの場合でSTDに感染を防ぐ事が出来ますので、パートナーの限定はもちろんのこと出来る限りの予防策をとっていきましょう。

STDもそうですが、どんな病気でも早期発見出来れば早めに治療をすることができ、大事にならずに済みます。STDの感染の疑いが有る方は出来るだけ早期に病院へ行きましょう。

参考文献
1.性感染症診断・治療ガイドライン:日本性感染症学会誌 , vol . 22 , 2011
2.STD研究所:STD(性病・性感染症)
3.厚生労働省:性感染症
4.性の健康医学財団:性感染症とは


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